いつだってご機嫌斜め

このまま待っててね アイドルしてくるね

朝井リョウを克服する

朝井リョウ!苦手!怖いもん!SNSの発達で過度に露呈した人間の承認欲求や、今まで見て見ぬ振りしてきた人の汚さをどんどん文字にしていく感じ!全ての物事を上から見てそうで!頭良さそうだから余計!恐怖!

きっと私が今高校生であればめちゃくちゃ響いただろうし、彼の小説に出てくる学生の登場人物達を見てこういう人間にはならないでおこう、こういう人の気持ちでいよう、こんなSNSの使い方をしないでおうと反面教師にも出来たと思う。今このいい歳になって読むから余計しんどいんだよ。多分。でも克服するために(?)いくつか読んでみようと思って「朝井リョウ おすすめ 傷つかない」とかでググったら全部面白いです!ばっかでてあまり参考にならなかったので、最近読んだ4作のネタバレのない感想を書きます。

 


水曜日の南階段はきれい(最後の恋  MEN'S)

最後の恋 MEN’S―つまり、自分史上最高の恋。 (新潮文庫)
 

色々な作家の恋愛短編集。"自分史上最高の恋"がテーマ。卒業を控えた女子高生と男子高生の話で、ハッピーエンドかどうかは置いておいて普通に感動する。しんどくない。綺麗。イメージはMrs.GREEN APPLEのPV。GReeeeNまではいかない。乙一で言うと所謂白乙一って呼ばれるやつなんだと思う。ほんとに呼ばれてんのか聞いたことないけど。

短編の中でここまで話を盛り上げれるのが凄い。1冊読んだぐらいのボリュームがある。えーーーーいい話じゃん!?!?

 


何者

何者 (新潮文庫)

何者 (新潮文庫)

 

しんどい。いい加減にしろ。あーーーまじでオチ読みたくね~~~~!!!絶対無理~~~!!お願いこのまま止まって~~~!!!って思いながらノンストップで読んじゃうやつ。しんどい。

これが、こういうのが朝井リョウだと思ってるからすぐ彼に暴言を吐いてしまう……ごめん……想定通りに傷つかされた自分が悔しいだけ……朝井リョウは私みたいな女が一番嫌いで嘲笑うと思う(他にこの法則に当てはまる男として星野源がいます)

私は大学時代みんなこんなだったし、同世代には割とグッサグッサ来るんだろうけど、これ五年後十年後にどういう評価されるんだろう。(ツイッターがメインで回る話なので)だってこれうちの母親とかが読んでも多分あんまよくわかんないと思う。平成の小説って感じ。

 


もう一度生まれる

もういちど生まれる (幻冬舎文庫)

もういちど生まれる (幻冬舎文庫)

 

だいぶ前に初めて読んだ朝井リョウ。この作者が朝井リョウだという事も分かっていなかったから、この後何者を読んで絶望する事になる。読んだ中で一番好き!独特のしんどさは勿論あるんだけどこれは一番綺麗に救いがあるから。色んな大学生の短編集なんだけど、登場人物がそれぞれ少しずつ繋がって出てくるところが好き。一つ一つ話の中での登場人物達がどんな形であれ前に進む終わり方をした後に、また違うとこでそっと出てきて嬉しくなる。さっきの話でチラッと出てきた人物が次は主人公になる、この感じが好き。そう、スピンオフとか大好き。中村春菊作品のオタクだから。スピンオフにワクワクするタイプのオタクはみんな中村春菊を読め。

 


武道館

武道館 (文春文庫)

武道館 (文春文庫)

 

女性アイドル×朝井リョウ、しんどくない筈がない。絶対やばい。しかも帯がつんく。読みたくねえ!と思いながら買った。(?)通勤中の電車でゆっくり読も!と思ってたら新宿着いた時点で半分読んでたし家帰って牛タンシチュー食いながら残り半分読んだ。この間2時間。

もう絶対主人公やばい奴だと思ってたら全然そんなことなかった。承認欲求バリバリの病みまくりの炎上の女同士の足引っ張り合いの泥のような地下アイドルの話だと完全なる偏見で読み始めたのに全然そんなことなかった。ごめん。

個人的な意見だけど、これはアイドルの女の子の話じゃない。一人の強い女の子のストーリーがアイドルという設定に乗っている話だよ。(???)

登場人物のるりかがイコラブの齋藤なぎさちゃんでしか再生されなかったんだけど(なぎさちゃんはまだ全然ロリだけど……)、Juice=Juiceがドラマ化してたらしい。アイドル好きとしてのこの小説楽しみ方は、48系の事件や接触商法やネットのまとめやらにあるある~wwって笑うとこじゃ無い、自分の中でこのキャラはどの現実アイドルかを想像するところだ。主人公がまだイメージついてないんだけど誰かなあ~。多分普通にめちゃくちゃ可愛くて癖がない、センターにはならないけどちゃんと人気があって干されない、ファンからしたらひたすらいい子……そんな奴おる?

アイドルの話として読むと、私は48Gの某姫が文春に撮られた時の総選挙の舞台でまるで名言のように放った「アイドルだって色々あるんだよ!」が嫌いなんですけど(あまりにも重みがない・言い訳として意味がわからない)、その「アイドルの色々」がこの主人公の考えのようなものであるならば、それは認めざるを得れないなあと思う。この小説読んでる時ずっとこの言葉を思い出していた。

 


わたし大学生の時に、当時入ってた学生団体で開催した講演会で、古市……寿さんを講演者として呼んだんですよ。(まだ今より知名度がなかった)

で、うちの大学にはある学部の学部生だけで開く学祭みたいなのが入学してすぐあって、今もあるんかは知らないけど、それがまあ学部の中では物凄く大きなイベントみたいになっていて、一回生を沢山集めて、リーダーとかいたりして、催事に関わってる人はみんな自信に溢れた目をしてて。まあそんな感じで、実際当日は全然人こなくてガラガラ、みたいな……書いててしんどいんだけどそういう内輪のイベントがあって……それに参加してた子がそれで当日やっと自分はなにやってたんだろう?って目が覚めました~みたいな話をその日古市さんにしてしまい、彼がそれをツイッターに書き、それを見た朝井リョウが超面白いじゃんそれ小説にするわ!プロット立てたわ!みたいなノリ方をした事で学部生の中でプチ炎上したんですよね。催事してた学生達が、馬鹿にすんな!!と。多分この流れも面白いと思ってんだろうな……と当時思った。朝井リョウへの恐怖の根源はそこにあります。いやきっとみんな思ってたんだけど……触れちゃいけないことだと思ってここまでそっとしてたわけじゃん……

朝井リョウには絶対「陰」のキャラと「陽」のキャラがいて、この落差がすごい。中途半端な奴がいない。これ作品に出てくる陰のキャラに、過去も引っくるめて自分に少しでも重なってしまった時点で怪我するんだけど、事故に合わない奴いる?絶対穢れのない陽キャでしょ。私も来世はそうなりたい。朝井リョウ、自分に子供ができて中学生くらいになったら読ませたくない?厨二病にならなさそうじゃん……(そうかな?)

連続で読んだらちょっとしばらくいいかな……となったので今日からは森絵都でも読みます。